HYPER BLACK (B-PRINCE文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2016年9月6日発売)
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本棚登録 : 63
感想 : 11
4

▼あらすじ
卒倒してしまうくらい死体を見るのが苦手なのに、なぜか誰も気付かない些細な手がかりを見つけて犯人逮捕に貢献してしまう飯島。
現場で昏倒必至ながらも目鼻が利くと捜査一課にまで配属され、悪戦苦闘の日々を送っていた。だが、ある事件をきっかけに、強面の偏屈者で有名な検視官の仁科に目をつけられてしまう。
仁科は「お前のその目が欲しい」と、嫌がる飯島に言い放ち!?
白黒決められない大人の恋愛事情は未解決!?

***

『デンパ男とオトメ野郎』という作品のスピンオフらしいですが、知らずに購入。
結果、世界観が同じというだけで前作未読でも全然問題なかったです。
ただ、最初は攻めがあまりにも自分勝手過ぎて、受けの合意を得ずに強姦まがいの事をしたシーンは「これ、趣味じゃないかも…^^;」と思ってしまいました。
受けの身体を好き勝手弄んでおいて、受けが怯えて帰ろうとしたら怒鳴って無理やり言う事聞かせるって…ちょっと訳が分からな過ぎて軽く引いてしまい…(汗)

その後も謝るどころかいきなり受けに「刑事辞めて検死官になれ」とか言うし、とにかく言う事やる事全てにおいて傍若無人過ぎて攻めの事が全く理解出来なかったのですが、受けが迷いながらも検死官になるって決めた時に突然キスしたシーンは「俺様もここまで来ると却って清々しいな…」と一種の慣れのようなものを感じました(笑)

あとは、受け、攻め、脇役と視点がバラバラな部分に少し読み辛さを感じ、最初の方は「うーん…」と思いながら読んでいたものの、物語が進むにつれて読み応えが出て来て、最後の方は一気に読んでしまいました。
個人的に良かったな、と思う部分は受けが割と最後の方まで攻めに対して拒絶反応を示していたこと。最初に陵辱されて以降、ずっと拒絶しているので、エロはかなり最後の方に一回あるのみなんですが、これで物語の中盤とか割と早い段階で受けが流されるように身体を許してしまっていたら、私はおそらく読む気が失せるほどガッカリしていたと思います。
あれだけの事を攻めにされたのだから、受けが根に持つのは当然ですし、寧ろ「あんなに酷い事されたのに気になっちゃう…これって恋…?」みたいな都合の良い展開にだけはならないでくれと思っていたのでホッとしました。

最後の最後まで受け自身、攻めに対する想いが同情なのか恋愛感情なのかハッキリしていないので中には「えー…」と思う方もいるかもしれませんが、受けの「人の気持ちってそう簡単に白黒はっきり付けられるものじゃない」という台詞はかなり説得力がありましたし、私的にも今はハッキリ「好き」と言えない方が物語の流れからして自然だな、と思いましたのでこの終わり方には大いに納得です。

物語の中盤以降は受けと攻めの会話もテンポが良くてなかなか面白く、思わずクスッと笑ってしまうシーンもしばしばあったりと、読み応えは悪くありません。(個人的には受けが横断歩道を渡る攻め呼び止めるシーンがお気に入りです笑)
正直、最初はサスペンスものかと思っていたのでこれといった難事件?みたいなのが起こらなかった事は意外でしたが、お仕事の描写もしっかりしており、中には勉強になるような部分もあったりして読んでいて面白かったです。
この終わり方なら続編が出てもおかしくない気がするので、もし出るならもう少し二人の親密度を上げていただきたいところ。
テーマがテーマなだけあってグロテスクな描写も結構多いので、苦手な方は要注意です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 整理済み(小説)
感想投稿日 : 2016年9月25日
読了日 : 2016年9月25日
本棚登録日 : 2016年9月16日

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