世界文学の新潮流、ラテンアメリカ発マジックリアリズムというものを読む。
加えて、 オタク文化といわれているマンガやアニメ、ロールプレイングゲームとか、 あたらしき、めずらしきものを知らされたる文学なり。
いわゆるファンタジー文学や読み物にうといわたし、 とっつきは悪かったが、ぐんぐん引っ張って行かれたおもしろさであった。
それはもちろん小説がリアリズムにつらぬかれているから、 いまや世界どこにでも共通する普遍の物語であったからであった。
まず、舞台がほとんどドミニカ!
うっすら知ってはいても、それは「どこじゃ?」という場所、国、 南北アメリカのど真ん中、アンティル諸島の中の小さな島のそのまた半分の国、ドミニカ共和国。
あのキューバに近くて、アメリカ合衆国に近くて、実際主人公のオスカーは子供の頃、家族とともにニュージャージーに移住。それがそもそもこの文学のみそなんだが(アメリカのグリーンカード万歳?)
第三世界から第一世界にワープしたような、 つまりテレビも電気もほとんどない世界からそれがあふれている世界へ。
そもそも移民自由国なのに、あるある人種差別!
移民たちは群れる(それをこの小説は「ゲットー」といっているが) 怒れる移民は内にこもる、性格が内気な少年は世の常、いじめられる、ふとってくる、 そうして立派なオタク青年になったオスカーが遭う悲恋の数々が縦糸。
横糸はドミニカ共和国の歴史、残額無比の独裁者トルヒーヨ時代の話、わたしだってこの本で知っただけなのだが、ものすごい迫害治世(1930~1961年)
いつの時代も、どこの国にも恐怖政治があるのだなあ、今もあるし。
オスカーの祖父母、母、姉と3世代にわたって、家族の壮絶な道のり、最後には泣けてくる、オタク青年オスカー本人の短い人生。
それをあちらからもこちらからもの切り口でする、語り文学。ま、いろいろ賞(ピュリッツアー賞など)をもらったのもうなずける
わたしも感動と共にすこしはファンタジーに慣れたかも
でも、この本はファンタジーではないのだ。
- 感想投稿日 : 2020年2月10日
- 読了日 : 2016年2月4日
- 本棚登録日 : 2020年2月10日
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