ベルリンという町の歴史、そしてその土地の中でたしかに生きた人たち。そうした積み重なった歴史性・伝統といったものに対して平出隆は謙虚・紳士的な態度を崩さない。その上品な態度から記される平出の散文はそれこそ本書で特権的な響きを以て記されるカフカやベンヤミンのそれに比肩しうる透明性を誇っていて、とても読みやすくこちらを刺激する。そして、ぼく自身のことを考えさせられる。これほどまでに歴史が意味を失う時代を生きる……一個の個人として、平出に倣って自分のペースを崩さず何物にも流されず、生きることはなかなか真似できない
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2023年12月28日
- 読了日 : 2023年12月27日
- 本棚登録日 : 2023年12月27日
みんなの感想をみる