もちろん性交がこれでもかと描かれるその筆致にもたじろぐが、同時に人間が脱糞する生き物であるということまでも思い出させてくれる(褒めてません)即物的な筆致に脱帽する。だが青野聰による、「私」という比較的透明度が高いともとれる一人称を通して読むと立ち上るのは「おれ」的なナルシシズム/自己陶酔ではなく、むしろそんなだらしなさに正直であろうと腹をくくった作家ならではの潔さではないかと思った。甘い見方だと言われればそれまでだが、この潔さこそが彼が単なる三文文士にとどまらない、今なお信頼に足るカリスマである所以だろう
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- 感想投稿日 : 2022年8月13日
- 読了日 : 2022年8月13日
- 本棚登録日 : 2022年8月13日
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