町でいちばんの美女 (新潮文庫)

  • 新潮社 (1998年5月28日発売)
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感想 : 112

もちろん性交がこれでもかと描かれるその筆致にもたじろぐが、同時に人間が脱糞する生き物であるということまでも思い出させてくれる(褒めてません)即物的な筆致に脱帽する。だが青野聰による、「私」という比較的透明度が高いともとれる一人称を通して読むと立ち上るのは「おれ」的なナルシシズム/自己陶酔ではなく、むしろそんなだらしなさに正直であろうと腹をくくった作家ならではの潔さではないかと思った。甘い見方だと言われればそれまでだが、この潔さこそが彼が単なる三文文士にとどまらない、今なお信頼に足るカリスマである所以だろう

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年8月13日
読了日 : 2022年8月13日
本棚登録日 : 2022年8月13日

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