蓮實重彦や吉田健一が書いたような「手すさび」「随筆」を想起しつつ、しかしこの著者が記すものにはそうした「人を食った」「悪意」がないなと思う。こちらが思わずむかついたり笑ってしまったりするような底意地の悪さがなく、代わりにどこか実直な生きづらさ・生真面目さを感じたのだった。その意味では意外とこれは堀江敏幸のような書き手の誠実・篤実な回想に通じるものであり『おぱらばん』『熊の敷石』が好きな人なら気に入るものなのかもしれない。ここにいる、ということそれ自体も疑わしくなり掘り返す記憶がどこかの別世界・妄想の彼方へ
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- 感想投稿日 : 2023年8月16日
- 読了日 : 2023年8月16日
- 本棚登録日 : 2023年8月16日
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