もちろんキモとなる著者が逮捕される事件も読み応えがある。だが、私が惹かれるのは「それ以外」の名もなき人たちの肖像だった。彼らは紛れもなくこのエッセイにして痛切な自伝が描く「60年代」を生きていた。沢木耕太郎のスケッチや、村上春樹や中上健次、村上龍が描く青春を連想してしまう(おかしな話だ。龍は「遅れてきた」世代のはずなのに)。ということはこの書物は著者が一皮剥けて一流のエッセイストになる、その「一皮剥ける」ために何物かを葬らなければならなかった鎮魂の書物であり、同時に哀切な文学を綴った1冊どいうことになろう
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年4月21日
- 読了日 : 2022年4月21日
- 本棚登録日 : 2022年4月21日
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