AI×データ時代の世界的な産業のゲームチェンジに日本がどれほど乗り遅れ、やばい状況にあるのか。色々やばいが、とりわけ科学技術分野の発展に不可欠な教育研究開発への投資が、他国と比べていかに日本は壊滅的か。冒頭で、ショッキングな日本の実情を改めて突き付けられる。
しかし、こんな壊滅的な状況にある日本だが、再び復活するための伸びしろは十分にあると主張する。日本が乗り遅れたのはAI×データ時代の第1フェーズだが、、次にやってくる第2,3フェーズで巻き返せる余地があるという。
そんな逆転を仕掛けるカギは、仏教の輸入や明示維新、戦後経済成長などにみられる、乗り遅れても一気に最先端に追いつく日本の伝統的なキャッチアップ力。その力を発揮して第2,3波で巻き返すために、データ×AIの力を解き放てる人材を育てるの重要性、そしてそこに投資を国家的に回すための現実的な方法を、多くのデータや概念図を用いて説明している。
ここまで具体的な数々のデータを示しながら、問題の整理と現実的な解決策を提示していくのは、すごい仕事だと思ったし、自分自身、理系学生として、自分がどんな力をつけて社会に還元していくことが求められるかを改めて捉え直すとてもいい機会になったと思う。
もともと、数年前から著者である安宅さんはこの本の内容を主張してきたらしいが、はやく本にまとめないとやばいですよ、間に合わなくなりますよ、と言われて本でしか届かない層に届けるために、と執筆が始まった一冊なんだとか。話題になっていたのは知っていたが、もう少しはやく読んでいたかった本。
- 感想投稿日 : 2021年3月9日
- 読了日 : 2021年3月9日
- 本棚登録日 : 2021年3月6日
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