37:宮沢賢治が思想教育の要になっている世界で、賢治研究者の母の遺灰を携えて花巻入りした主人公は昭和八年、賢治の亡くなる数日前にタイムスリップ(?)してしまう。しかし亡くなったはずの宮沢トシが生きていて……というところから始まる、「永久に改稿され続ける」銀河鉄道の夜をなぞったSF。風野又三郎が登場し(て「どっどど どどう」って風を吹かせ)たり、トシの娘さそりや、第四稿では存在しないブルカニロ博士がぼく=ジョバンニを惑わせる。
この「タイムスリップ」と思われたものは実は、と途端にSF的展開を見せるのが熱く、ループものや時空改変ものにも似た、箱庭世界におけるメタ的存在を相手取った奮闘が描かれます。
エピローグがめちゃくちゃ好き。
読書状況:読み終わった
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本・雑誌
- 感想投稿日 : 2018年10月8日
- 読了日 : 2018年8月11日
- 本棚登録日 : 2018年10月8日
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