森博嗣による『スカイ・クロラ』系のエンターテインメントノベル。『ヴォイド・シェイパ』では新渡戸稲造『武士道』を背景にしている。引用のつなぎ方が森博嗣作品の特徴のひとつだと思う。
メフィスト賞からのデビューということで、文学作品としての認知はされないものの、アンダーグラウンドに近い魅力を放っている。
面白いのは、森博嗣の場合モチーフにしている作家ないし作品が伏せられているということ。「秘すれば花」とはよく言ったもので、森博嗣は自分の手の内を隠しつつ表現するのが得意技である。
理系センス、と一言で括られることは多いものの、実際はアートの発想で、精密さを重んじるのも西洋絵画の遠近法を思わせる。幾何学的なものと芸術的なものが絡み合い、融和された作風で綴られている。
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- 感想投稿日 : 2012年12月2日
- 読了日 : 2012年12月2日
- 本棚登録日 : 2012年12月2日
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