原発安全神話を作り上げた原発広告をプロパガンダの一種と見做し、その歴史と構造を探った書。
1991年に作成された「原子力PA方策の考え方」は原発広告の舞台裏が垣間見えて興味深いし(p.48-64)、「私も脱原発だ」と公言して都知事選に立候補した舛添要一氏が過去にちゃっかり原発推進派のシンポジウムで基調講演を務めていた模様が収録されている点も見逃せない(p.244)。
ただ、広告の分析は表層的で決して鋭いものではないし、事実なのか著者の臆断なのかよく分からない表現が散見されるのもいただけない。したがって、本書の価値は歴代の原発広告を多数掲載した資料性の高さにあると言って良いのだが、縮小された広告の文字が小さすぎてほとんど解読できないのは致命的。
目の付け所は面白いと思ったのだが…。素材が良くても作りが雑なのは何とも残念。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
時事評論・エッセイ
- 感想投稿日 : 2014年2月4日
- 読了日 : 2014年2月4日
- 本棚登録日 : 2014年2月4日
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