星野道夫展を訪ねたことがある。
カリブーの群れ、アラスカの自然に圧倒された。
久しぶりに星野道夫の著書を手に取った。
インターネットが普及し、世界との距離が短くなった。というのは勘違いかもしれない。
想像力が退化し、リアルな体温のある世界が遠ざかっていく。そんな気がしてくる。
星野道夫さんはザルツブルクを旅して、アラスカを懐かしむ。サウンド・オブ・ミュージックの舞台であり、モーツァルトの生誕地であるザルツ。私にとっても憧れの地。でもスイスやオーストリアの自然ですら箱庭でしかない。
その一方で、自然や生命のもつ弱さ、脆さに惹かれるという。
星野さんは16歳でアメリカに渡り、一人で旅をする。必要なものだけを背負って。本人からの冒険を見守り支援する保護者も凄い。もしかしたら帰って来ないかもしれないのだから。
星野さんは、若い頃、同志・親友を亡くしている。亡くなった後も彼と語らいながら、カリブーやクジラ、オーロラの写真を撮り続けたに違いない。
星野さんは17歳年下の直子さんと結婚し、アラスカに居を構えた。花の好きな直子さんとワスレナグサを見る。岩陰でへばりつくように咲いていたワスレナグサを。
人生は一度きり。
彼は亡くなっても、本や写真を通して彼の心象風景を観ることができる。
出会うということ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
星野道夫
- 感想投稿日 : 2024年2月2日
- 読了日 : 2024年2月2日
- 本棚登録日 : 2024年1月30日
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