谷は眠っていた: 富良野塾の記録

著者 :
  • 理論社 (1988年12月1日発売)
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感想 : 4
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感動した。「at your own risk」以前友人に教わったことばがここにあった。自分の責任においてすべてのことをする。

ここの若者たちは輝いている。それは何も持っていないからだ。あるのは,しなやかでたくましい体とすさまじいまでの精神力。何もないところから創り出す。というとかっこいい響きだが,その闘いたるや筆舌につくしがたい。寒さとの闘い。労働の重さ。労働の後の勉強のつらさ。人間関係の濃密さ。濃密なるがゆえの苦悩。

山に登るとき,五合目まで車で行って,その後歩こうという人は多い。でもこの若者たちも倉本聰さんはちがう。最初の一歩から丹念に歩き,気の遠くなる裾野から山頂をめざす。中腹にたどり着く頃は,きっと山に登る術を身につけている。きっと。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 倉本聰
感想投稿日 : 2019年1月3日
読了日 : 2019年1月3日
本棚登録日 : 2019年1月3日

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