恵三さんのしんみりした身の上話が、夏美さんの声かけでさらに潤んでくる。空気を換えてくれる弾む声と背中をさするあったかい手。
夏美さんはとっても魅力的だ。やや内気なしんごくんも。
田舎の風景は私の子どもの頃のまま。夏は、公民館で柔道を習った帰りにふわりと浮かぶホタル。冬は、星空を見上げ、学校で学んだ北斗七星やカシオペア座をさがしながら帰った。
森沢明夫さんの描く自然描写はさりげなく美しい。風鈴の音、葉ずれの音、線香花火、ヒグラシの声。そして異質物みたいな雲月さんの角もとれていく。
才能とは覚悟
人と人のつながりが
人と人の絆が信じたくなる
そんな作品だった。
爽やかな清涼剤であり、掘り炬燵みたいな作品。
作者にありがとうと伝えたい。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
森沢明夫
- 感想投稿日 : 2024年2月9日
- 読了日 : 2024年2月9日
- 本棚登録日 : 2024年2月8日
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