暴走する資本主義

  • 東洋経済新報社 (2008年6月13日発売)
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・結果として、消費者と投資家は、より多くの選択肢とより良い条件を得た。しかし、富の分配を調整したり、市民たちの共通の価値観を守っていた制度は崩壊し始めた
・第二次大戦後、米国巨大企業のCEOは自らを「企業ステーツマン」と見なし、その責務を株主や従業員、一般市民の主張をバランスさせることだと考えるようになった
・規模の経済と20世紀半ばに栄えた民主的資本主義の終焉を急がせたもの(①グローバル化 と呼ばれるようになったもの、新しい生産方式の到来、規制緩和、②これに、金融の緩和が重なることで投資家は巨大投信や年金へ。これらの主体が企業への高収益圧力を高め、激しい競争を生み、その結果として人件費が削られる)
・新技術の興隆によって、安定的な生産システム⇒動きの早い多数の売り手が台頭
・ウェルチ就任前はほとんどのGE従業員は終身雇用
・消費者や投資家としてのすばらしい取引の一部は低い賃金・福利厚生水準に拠る
・我々は共犯者。市民としての私たちは相対的に力が衰えている
・我々は伝統的な地域社会が衰退するのに力を貸しながら、昔ながらの時代を懐かしむ
・カリフォルニアの心優しい公務員は、旧いヨーロッパに超資本主義を持ち込んでいる
・内なる市民が、内なる消費者・投資家に打ち勝つには、購入や投資を個人的な選択ではなく、社会的な選択にする法律や規制を作ること
・結局は、経済が構造的に変化して1970年代に始まった消費者や投資家獲得のための競争が激しくなっているということ
・競争がエスカレートした結果、政治的争いに参入するコストは上がり続けている
・投資家の圧力によりボディショップ創立者は顧問に追いやられ、ベン&ジェリーズはユニリーバに買収されてしまった
・企業が擬人化された特質を持つことにすると、人々は企業を人間のような存在と勘違いしてしまう。その結果人間に帰属している義務と権利が企業にも与えられている(納税の義務、政治のプロセスへの参加資格)
・解決策=政治の意思決定プロセスを巨大企業から市民に取り戻すこと → 企業献金の規制、ロビー活動などへの企業支出の規制

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感想投稿日 : 2019年1月4日
読了日 : 2008年7月27日
本棚登録日 : 2019年1月4日

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