『波』が非常によかったので、読んでみた。
日本生活が長く奥様も日本人のせいか、非常によく日本をよくわかっていらっしゃる。本作は翻訳だが、日本語で著作を書くほどの日本語力というのも納得できる。
翻って、とても抒情的でいかにもフランス作品といった趣の本書。
あらゆる描写に、歌うような美しさがある。ともすれば過剰にも思える詩的な言い回しが、いやらしく見えないのはさすが。
不思議なもので、ひどく退屈で投げ出そうかと思いつつ読めば、突然思いもかけない方向へ展開し、たちまちサスペンスフルなストーリーに変貌する。
捉えどころがないとも言えるが、結局、なんだかんだで最後まで読み切ってしまった。
フィクションではあるものの、著者が投影されていると思われる部分も多く、そのあたり、夢と現実を行きつ戻りつさせられるような思議な世界観を作り出すのに一役買っていたかもしれない。
「叶わぬ夢」が印象的だった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説(翻訳)
- 感想投稿日 : 2013年3月21日
- 読了日 : 2013年3月21日
- 本棚登録日 : 2013年3月20日
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