おもしろ旅エッセイの大御所、宮田珠己さん初の長編小説、しかもテーマがプレスター・ジョンの国まで旅したという中世の騎士、ジョン・マンデヴィル絡みとあり、期待して読みました。文体は基本、いつもの宮田節で、主人公のジョンの息子、アーサー・マンデヴィルのつっこみは、旅先で変な人やものにつっこむ宮田さんそのもののようで、くすりと笑えます。
各章のエピソードもジョン・マンデヴィルの東方旅行記はじめ、澁澤龍彦のエッセイでもお馴染みのプリニウスなどが言及している東方の驚異な怪物や植物のオンパレード。犬頭人、アマゾネス、マンドラゴラや美人果などの解釈が独特で、なるほどそういう設定もありか、と新たな発見をする楽しみ方もできるのかなと。
似たテーマを扱った物語としては、澁澤龍彦の「高岳親王航海記」や、ウンベルト•エーコの「バウドリーノ」などがありますが、それらの幻想的且つ隠喩に富んだストーリーとは違って、前知識なく読んでも物語として楽しめるのではと思います。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ファンタジー
- 感想投稿日 : 2021年12月7日
- 読了日 : 2021年12月7日
- 本棚登録日 : 2021年11月13日
みんなの感想をみる