向田邦子文学論 (新典社選書 89)

制作 : 向田邦子研究会 
  • 新典社 (2019年1月21日発売)
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感想 : 1
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単純に好きで読んでいた向田邦子さんの作品を、研究の題材として捉えた時に、現況でどのような主張や作品分析がなされているのか、トピックが知りたくて手にとった。ある程度作品が残り、愛読され、時間が経過しないと、なかなか研究の題材としてはまとまってこない。平成文学だと近すぎるけれど、昭和は過去になり、ブームになり、そろそろ程よく遠いので、研究できるということだろうか。

『あ、うん』『寺内貫太郎一家』を代表とする小説から、ラジオで大当たりをとった、森繁久彌氏の番組台本、数々の名エッセイなどがバランスよく論考され、私が知らない間に様々な考察を生んでいたことがよく解った。興味深いのは、昭和生まれの研究者と、平成生まれの研究者では、その内容に差異があるのか、ということ。現役で昭和を感じた世代と、懐かし文化として『昭和時代』を捉えている世代では、その解釈にも影響が出そうな気がする。

何にしろ…ざっと現行の研究を俯瞰するにはとても面白い一冊だった。映像資料・録音資料・印刷資料・ともに多く残っている世代ではあろうし、今後も新しい論考集が出たら、ぜひ追いかけてみたいと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文学専門書
感想投稿日 : 2020年1月20日
読了日 : 2020年1月20日
本棚登録日 : 2019年12月8日

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