会社で生きることを決めた君へ (PHPビジネス新書 293)

著者 :
  • PHP研究所 (2013年9月19日発売)
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感想 : 19

全体として、今のバランスがとれた大企業人としてのありかたを説いている。著者自身の家族に障害や病気を持つ方がいることも一律にモーレツ社員や社畜であることを是としない考えにつながっているのかもしれない。
31のメッセージの個々を自身の現状に照らせば、有用なメッセージがあることも事実。メッセージNo.9「我欲を捨てたとき、仕事の結果も人もついてくる。」は、出世、保身など内を見ずに外、エンドユーザーや社会を見ていれば確かについてくるはずであり、大企業病とは縁が切れる。でも、実際にはこんな企業人をほとんど見たことがない。逆を言えば少しは見たことあるわけですが。

メッセージNo.25「人は自分の成長のためと、何かに貢献するためにはたらいている。」、これは「利己主義と共感の2本足」が人の行動原理とするアダム・スミスの考え方と同義、特に「何かに貢献=共感」はアドラーの感がる幸福感=「他者の役に立っている感」にもつながり、普遍的な価値観として重要なのかもしれない。というか私自身は嫌われる勇気を読んで以来、重要と思っている。ところで、本書はひとつの企業で労働者としての人生を閉じることを前提としていると読める。したがって、不条理をがあることは仕方がないとして、自分が持てる枠の範囲でできるだけのことをするように勧めている。この点、自分で枠を作れる人、作りたい人は、そもそも、会社という限定的な集団の作った枠の不条理を是としないため、話がかみ合わないかもしれない。

メッセージNO.10「いきなり会社を変えることは難しくても、自分の課なら変えられる。」たしかにそうなのだが、そもそも危機的状況でもいきなり変えられない組織なんて、なくなるだけなのでどうでもいい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: Hobby
感想投稿日 : 2017年5月3日
読了日 : 2015年12月31日
本棚登録日 : 2017年5月3日

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