授業で習った「いちはつの-」短歌に惹かれた。美しいと思った私は10代だった。
喀血しても従軍記者となり病を深刻に受け止めてなかったと聞いたことがある。これを読めば一秒一秒死に近づいてる人の悲しみや諦め、その中での笑いも感じられるが病は冷酷と感じる。どんな絶望が氏の中にあったか。無情な命の限りを刻々と感じながらもう涙も出なかったろうと思う反面、傷み、苦しみには大声で叫ぶと描かれている。それが病。
瑞々しい感性と才能が有りながらも病床六尺の中の人の物語。友人の漱石の小説の複雑さに比べると物語は身の回りにしかなく、その写実が悲しい。それが事実だったと思う。無念だったろうな。
若い頃は読めなかったこられの文章が読める今の私の不思議。 とはいえ、歌よみに与うる書や俳句の解説はやっぱり難しかった。
“芭蕉が蛙の上に活眼を開きたるは即ち自然の上に活眼を開きたるなり”の言葉に感動。
読書状況:読み終わった
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読み応えあり!
- 感想投稿日 : 2016年12月29日
- 読了日 : 2017年9月4日
- 本棚登録日 : 2016年12月29日
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