そして君の声が響く (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (2007年8月21日発売)
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本棚登録 : 272
感想 : 34
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心に傷を負って不登校になった子ども達が通うフリースクール。
大学生の翔太は、就職試験を有利にするためにボランティアを始める。
屋上でひとり歌う美咲を見かけ恋をした翔太。
しかし、彼女には悲しい秘密があった。
未央が言う人間の心の方程式が面白いと思った。
ムキになればなるほど、怒り・怨み・恋・嫉妬・嘆き。その心の抵抗は大きくなる。
ほどほどにコントロールしなければ、どんどん暴走して取り返しのつかない結果になってしまう。
自分らしく。とても難しいことだと思う。
だいたい自分らしいって、何?
本来の自分があるべき姿。そんなものがどこにあるのだろう?
何となく自分らしくないときはわかる。
でも、自分らしいときは・・・自分では気づかない。
ありのままの自分を受けとめ、命をかけて愛してくれる存在。
過去にあった裏切りやいじめで傷ついたことさえ、すべて包み込んでしまうほどの一途な想い。
大切な人が示してくれた道を、顔をあげてまっすぐに進もうとする美咲の姿は凛としている。
美咲の覚悟。
それがどんな結果になったとしても、美咲や翔太、ふたりの周囲の人たちもしっかりと受けとめ前に向かって歩き続けていくのだろう・・・そんな気がした。
池永さんの作品が好きだ。
なのに、この物語はどうにもしっくりこない。
どうしてこんなに浅い印象しか残らなかったのだろう。
いつもはもう少し身近に感じられる登場人物たちが、何故か遠く感じた。
とても残念な気がする。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 恋愛小説
感想投稿日 : 2017年2月27日
読了日 : 2017年2月27日
本棚登録日 : 2017年2月27日

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