「畑をひとつ、またひとつと越して行くのさ」
私の好きな物語の要素がすべて入ったマイ・ベスト・ノベル。
核戦争後のアメリカを舞台に3つの話が同時に展開していき、最後にそれが一つにまとまるという構成が好き。また、それぞれの話のメインとなる人物がどれもいい。
子供をなくし浮浪者となった女「シスター」、自分こそが「勇者」となるために絶対の力を求め続けるゲームオタクの少年「ローランド」、そして滅亡寸前の世界で唯一生命を蘇らせる力を持つ少女「スワン」
彼らが核の冬を迎えた世界で何を見、何を考えたのか。そして旅を続ける中でどう変わっていったのかが非常に興味深かった。
テーマや内容はファンタジー色が濃く、スワンの力や彼女を狙う男はいかにもだけど、でも登場人物たちの考えや行動は決して非現実的とは言えない。
1200ページにわたる長編だけど、一気に読んだ。そして泣いた。人間の醜さや愚かさがたくさん描かれていてるけど、でもそれでも信じるに足るものがまだ人間にはある、と思えるラストがいい。
「畑を一つ、また一つ越えてね」という最後のセリフで号泣。初めて読んだのは大学生の時だった。それ以来何度読み返したことか。
今ではもう絶版らしいけど、入手できて本当に良かった。ダントツの「一番好きな小説」だ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
【小説・英米】SF・ファンタジー
- 感想投稿日 : 2009年12月12日
- 読了日 : 2009年12月12日
- 本棚登録日 : 2009年12月12日
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