安倍晋三が生きた日本史 (産経セレクト S 032)

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  • 産経新聞出版 (2023年6月30日発売)
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2022年に凶弾に斃れた安倍元首相への想いを桜井よしこ氏が述べたもの。幕末の勤王の獅子にも準えているように、日本の歴史にも名を残すレベルの首相であったと述べている。著者の意見を聞いて、日本にとっての大きな損失だっとのだとあらためて感じた。

「安政の大獄で死罪に処せられたのは、松蔭29歳の時であった。それより前、松蔭の松下村塾には約60人の門人が学んだ。時代の大変革の中、松下村塾は2年3ヶ月続いた」p18
「プライマリバランスについていえば、それはできる限りコントロールしなければいけませんが、ある程度のマイナスであったとしても、成長率がしっかりと金利を上回っていれば、債務残高のGDP比はだんだん縮小に向かっていくことになります。これは間違いないです。ドーマー条件というのですが、基本的には、成長率が金利よりも上回っているという状況を作っていくことの方が大切なんですね。そうであれば、プライマリーバランスがどうであれ、どこかの時点で必ず収束するんですね」p203
「私たちが作ってきた国際社会、いわば秩序を打ち破ろうという動きが出てきている」p222
「国のために何かをするといふことは、自己一身の生活の上からいって、必ずしも幸福になるとは限りません。むしろそれは、深刻な悲劇に負わなければならぬことが多いでせう。しかし、国のためといふときには、個人はその悲劇を乗り越えていかねばならないのです(夜久正雄著『古事記のいのち』)」p286
「国家の形成を考古学や経済史で見て、弥生式土器の時代から鉄器文明の古墳時代に入った、といふことだけでは、国家形成の内的動因を感得することはできないでせう。人間をぬきにして歴史があるはずはないからです(夜久正雄)」p287
「日本書紀によれば、倭建命が房総半島の方を望まれて「これは小さな海だ。立ち走っても渡ることができよう」と言い、海の神の怒りに触れたため暴風が起こり、船は沈みかけたとある。このとき、倭建命の妻、弟橘比売命(おとたちばなひめのみこと)が仰った。私があなたの身代わりとなって海に沈みましょう。あなたは天皇から遣わされた目的を遂げて、その実績を奏上なさいませ、と言って入水したのである。海の神の怒りは鎮まり、御船は無事進むことができた。そのとき、弟橘比売命が歌を詠んでいる。「さねさし 相武の小野に 燃ゆる火の 火中に立ちて 問ひし君はも」これは日本人の辞世のはじめとされるが、渡部昇一氏は『古事記の読み方』で、日本初の辞世の句が女性によって詠まれ、しかもそれが愛の歌であることが目ざましいと激賞している。古代からわが国は女性をきちんと認めていたということであろう」p292

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2024年2月11日
読了日 : 2024年2月11日
本棚登録日 : 2024年2月11日

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