2022年も後半にして初の徹夜本登場…
1部の戦後間もない動乱の時期を生きる祖母万葉、
2部の80年代のヤンキー・ファンシー文化を駆け抜けるは母毛鞠、
3部の90年代の労働・就活と個性がもてはやされる時代を生き、これから令和を生きていく「私」こと瞳子。
1部のノスタルジックな時代背景に酔いしれ、
2部では笑いながら、「このミス」入りと聞いていたので伏線があるのかも…と気をつけて読んでいたら3部で急展開が。
ミステリーとしては弱めかもしれないけど、
女と男、女と家、女と仕事をめぐる歴史物語として
とても魅力的で、ページをめくる手が止まらなかった。
時代は変わり続けて、1世代前での常識や悩みはどんどん移り変わっていく。
3世代の女性の人生を並走しながら、
かつて確かにいた女性たち、これからいるであろう女性を思う。
自分のせいぜい3世代前のひいおじいさん、ひいおばあさんさえほとんど覚えていなくて、幻のようだけれど、確かにいて、それぞれ何十年もの喜怒哀楽を生きて、そして私がいるんだということを改めて考えた。
男性たち、泪さんや、みどりさんの兄じゃも、現在だったらもっと生きやすかっただろうか。(これはまだまだかな…)
反対に、豊寿さんのように一昔前の価値観でしか生きられなかった人もいる。
自分は自分が生まれた時代で生きることしかできない。
その悲しさと、不思議と、奇跡を味わった。
そして、地元民からするとなんでこんなに山陰の描写が的確なんだ…と思ってたら、桜庭先生、島根生まれ鳥取育ちなのですね。
山陰文学としても後世に語り継がれるべき名作。
- 感想投稿日 : 2022年12月17日
- 読了日 : 2022年12月15日
- 本棚登録日 : 2022年12月15日
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