★★★2019年3月★★★
実に面白い短編集だった。70代を過ぎたモームのユーモアや優しさがにじみ出た作品が多かったように思う。
この短編集に収められた作品を列挙する。
・物知り博士
・詩人
・ランチ
・漁夫サルヴァトーレ
・蟻とキリギリス
・マウントドレイゴ卿
・ジゴロとジゴレット
・ロースター・イースター
・サナトリウム
・大佐の奥方
・五十女
・冬の船旅
「ジゴロとジゴレット」では、命がけの演技で生計を立てる芸人夫婦を描く。金持ちの豚どもを相手に、命を懸ける。なんて事だ。「金なんてくそくらえだ」と言いつつも、最終的には舞台に上がる決断をする。
世の中何か間違ってる、昔も今も。そんな事を考えてしまった。
「サナトリウム」というのは結核療養所の話だが、お互いをののしりあいながら長く収容された爺さん二人がいたり、療養所内の恋があり。しかしこの物語での問いかけはいかに「死」と向き合うかだと思う。
ラストシーンでは、ある結核患者が自らの運命を受け入れる。それまで彼は自分の運命を呪っていたのが
「死ぬのが君じゃなくて僕でよかった」と悟るのだ。
どの短編の深く考えさせられたり、そんな中にもクスッと笑う要素があったり。モームのストーリーは本当に面白い。物語が体の中に入ってきて、心は別の世界に行く感じがする。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
海外文学
- 感想投稿日 : 2019年3月26日
- 読了日 : 2019年3月26日
- 本棚登録日 : 2019年1月18日
みんなの感想をみる