クリスティの自伝を引用しながら、順を追って事跡を説明。また作品中にクリスティ自身の心情が反映されているとみられる所も作品中の文を引用して説明。また当時の社会状況なども補足説明されていて、自伝だけで事跡を追うより短くすっきりと分かりやすくクリスティの一生が分かるようになっている。同時に作品も時系列に沿って紹介されていて、作品の性格とか反響、被害者のパターンなども書かれているので、こちらも分かりやすい。
クリスティは物語を空想して楽しむような子供だったのに対し、娘のロザリンドはそういうことはせず実際的な性格で父のアーチボルトに似ていたようだ。著者は娘との関係は自身の母クララとのような親密なものではなく、どこか醒めた距離感があった、とある。
「スタイルズ荘の怪事件」を書いた後、実家が売りに出されるはめになりそうになると、「たとえば、もうひとつ小説を書くことだってできるじゃないか」とアーチボルトがすすめてくれたためとりかかったのが「秘密機関」だとあった。このころはまだうまくいっていたのか。
1994原著発行
1997.2.10講談社発行 図書館
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
本・小説家、文学研究
- 感想投稿日 : 2020年2月20日
- 読了日 : 2020年2月20日
- 本棚登録日 : 2020年2月19日
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