此の世の果ての殺人

著者 :
  • 講談社 (2022年8月24日発売)
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大宰府自動車教習所に通うハル。教官のイサガワ先生と山道教習に出ると、異臭がひろがり目の前に枝から下がった人体がフロントガラスにぶつかった。山に入ると一面首つり人だらけだった。・・母は少し前着の身着のままで逃げ、父は昨日自殺しました。弟はひきこもりです、と聞き出す先生に答える。先生は「それでお父さん、もう埋めたの?」・・え? どういう状況? 

と思うと、もうすぐテロスという惑星がこともあろうに阿蘇に衝突する、という状況。日本人は大方国外に逃げ出している様子。次は高速教習で、車のトランクを開けるとなんと惨殺された死体が入っていた。さらに福岡とか他に2件の刺殺死体が上がっている様子。

実は教官のイサガワ先生は元警察官で、ハルと殺人を捜査することに。

この惑星衝突を避けて人が逃げ出して荒廃した状況、というSF的設定が新鮮。でも雰囲気はSFではなくあくまでも普通のミステリーという感じ。殺人の動機自体は犯人が言うにはこの荒廃とリンクしているのだが、実のところこの犯人は荒廃状況が契機になっただけで、その萌芽はあったのではないか、という気がした。

かなり昔のドラマ「ぼくらの勇気 未来都市」をちょっと思い浮かべた。キンキキッズが出ていたもので荒廃した都市が舞台だった。検索してみると1997放送で、幕張が舞台で微生物により町が荒廃、という設定だった。

著者1998福岡県生まれ。
2022年、第68回江戸川乱歩賞を受賞した本作でデビュー

2022.8.22第1刷 図書館

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・ミステリー 日本
感想投稿日 : 2023年11月23日
読了日 : 2023年11月23日
本棚登録日 : 2023年11月23日

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