十五歳の戦争 陸軍幼年学校「最後の生徒」 (集英社新書)

著者 :
  • 集英社 (2017年8月9日発売)
3.58
  • (5)
  • (17)
  • (11)
  • (5)
  • (0)
本棚登録 : 147
感想 : 29
3

先ごろ91歳で亡くなった西村京太郎氏。87歳の時の自伝。

生まれてから7年間は平和で、昭和12年に日中戦争が始まって、15歳で終戦になるまで8年間延々と戦争が続いた、とある。昭和20年4月1日に入った陸軍幼年学校、そして昭和20年8月15日以後の昭和20年、20代の人事院時代、11年勤めて退職して作家を志し運転手、保険の外交員、探偵などをして懸賞小説に応募したかけだし時代のこと、そして最後は日本の戦争への姿勢の考察で終わる。

齢90を前にして、自らが体験した戦争を、どうしても書き残しておきたかったんだな、と感じた。終戦時は15歳になる1カ月前。「ぎりぎりだが、子供でいることができた」と書いている。「もし、あの頃大人だったらさまざまなことに腹を立てていたに違いないし、金欲しさに犯罪に走っていたかも知れない」とも書いている。しかし玉音放送を聞いたあとは、「東條のバカヤロー」「あいつのせいで、敗けたんだ!」とある。

氏の人生で一番強烈だった年が昭和20年、14歳から15歳の時だったのだと思う。章立ても第2章:私の戦後 ~特に昭和20年(前半は戦争、後半は平和だった時代)とある。

昭和20年の8月15日以後は、新聞記事を載せているが、その中で、8月15日の新聞の一面が「戦争終結の大詔渙発さる」とあった。朝刊だから朝にこれが配られたのか、と思い検索してみると、15日の朝日新聞などは、12時の放送の反応も書くため、午後に印刷・配達されたとあった。また進駐軍による強盗などのトラブルなども記事になっているが、9月16日以後はこういう記事はぴたりと無くなり、掲載が禁止されたとあった。興味深いこともわかった。

昭和5年、東京(荏原町小山)の4軒長屋に生まれ、父親は菓子職人だったと始まる。現在のどこかなと検索してみると、品川区に荏原町と小山町が隣り合ってあり、五反田駅から西へ1キロくらいの所、星薬科大学がある。

「現代ビジネス 2018.8.15」昭和20年8月15日の新聞 辻田真佐憲
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57005


西村京太郎:1930.9.6-2022.3.3 91歳

2017.8.14第1刷 図書館

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・小説家、文学研究
感想投稿日 : 2022年3月9日
読了日 : 2022年3月9日
本棚登録日 : 2022年3月7日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする