「奇界遺産2」。引き続き「奇界」を求めた。「芸術」とは何かを探求して歩く著者。目に見えぬ力に形を与えるもの、それが原始の呪術、そして芸術の始まりだとする。今回は「バイコヌール宇宙基地」と「チェルノブイリ」を訪れる。科学と芸術、それはもともと自然に対する脅威と畏怖をその起源とする、人類が生存していくための「ART(芸術/技術)」として生まれたとする。人間は古代には洞窟に壁画を生みだし、現代には壊滅的な廃墟を生みだした。 一冊見終わると、「奇界」はとにもかくにも人間の所産だということだ。
表紙は「バイコーヌール宇宙基地」カザフスタン
造られた時代はソ連。ソユーズロケットが住宅街に達、レーニン像、ガガーリン像が建つ。
「イエメンの古代摩天楼」ハラズマウンテン山近郊。
「カンドヴァン」イラン/北コーカサス地方 カッパドキアと似ているが、カッパドキアと違い、似た地形が周りに無い。ハチの巣のような洞窟住居には電気も通る。
「福建土楼」中国
「ティエベレ」ブルキナファソ ガーナ
土の住宅。西アフリカ一帯に多い。
「アルベロベッロとマテーラ」イタリア
ここではアルベルベッロも奇界。
「奇矯」
「ザウリアーパーク」ドイツ/バウツェンの森
原始時代のマンモス、恐竜、腰みのの人間などを配置した公園。ドイツにこういうものがあったとは。
「ワット・サームプラーン」タイ/ナコンパドム県
丸いピンクの円錐形の塔に濃緑の全長300mの大蛇がからみつく。
「奇傑」
「シュヴァルの理想宮」フランス アウトサイダー建築の金字塔
「奇物」
「怪物庭園」イタリア/ボマルツォ ローマの北70kmにある庭園。1552年、この地のオルシニ公が天才彫刻家ピッロ・ビゴニオ(後にシスティナ礼拝堂を手掛けた人)を招き、怪物を掘らせた。苔むした怪物たちがひっそり眠る。・・夜になると動き出しそうな。
「奇習」
「バツー洞窟のタイプーサム」マレーシア
マレーシアに住むヒンズー教徒の祭り。巨大な洞窟にたくさんの人が集まる。
「トラジャ族の葬儀」インドネシア
スラウェシ島。葬儀はミイラ化し岸壁に埋められる。多数の牛が生贄に捧げられる。常住する家が高床の船の形。この家は見た事があった気が。
「奇怪」
「パッセ王の聖なる森」ペナン
ヴォドゥン信仰の森。ペナンでは1992年国教になった。奴隷が多くアメリカに行った地。アメリカに渡ったヴォドゥン信仰は民衆キリスト教と合体しキューバでヴードゥー教として体系化。
「白鹿権現」日本/大分県
岩の祠の前には鹿の頭蓋骨が多数。
「メイマンド」イラン/メイマンド村
これは一番原始的な穴居住宅かも。初めて見る気がする。ゾロアスター教の村。古都ヤズドからケルマーン州境に向け車で6時間、イラン最古の村メイマンドが現れる。6000年前に遡るとされてきたが、近くの山から1万年前の岩絵が発見された。台地の斜面に蛇の巣のような、400前後の洞窟が口をあけ、150人ほどが暮らす。中には電気は一部通っており、携帯電話で話す人も多い。
最後は「チェルノブイリの卵」ウクライナ
キエフから北に200km、プリピャチの町はもともとチェルノブイリ原子力発電所に隣接して造られた旧ソ連の秘密都市。5万人が暮らした。林の前の土地に「白い卵」のタイムカプセルがポツンと鎮座。「卵は核廃棄物の収容容器と同じ素材なので、今から1000年後に崩壊する。つまり卵が割れるまで人間はここに住めない」とガイド。
2014.3.20初版第1刷 図書館
- 感想投稿日 : 2021年5月20日
- 読了日 : 2021年5月20日
- 本棚登録日 : 2021年5月15日
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