1920年代から70年代にかけての、京劇の女役・程蝶衣(小豆子)と男役・段小楼(石頭)の二人の男性の生き様を中国の歴史変動と、京劇の演目「覇王別姫」を交差して描き切る。兄と慕う石頭への思慕と、歴史の大河の中の蝶衣に何か涙してしまった。
「覇王別姫」は項羽と虞美人の物語で1930年ころ北京で初演されたとあるので、このあたりをこの映画に取り入れているようだ。この虞美人を演じるレスリー・チャンが息をのむほど美しい。京劇の化粧はこうも美しい女の顔になるのか、またしぐさがこうも女になるのかと感嘆する。歌舞伎の女形とはまた違った美しさ、歌舞伎より、より妖艶な女の面だ。レスリー・チャンは「ブエノスアイレス」で見ただけだが、中肉中背でそうなよなよもしていないと思うが、衣装をつけ化粧をすると本当に美しい。
また少年時代の小豆の役者も本当に顔体が細く女性的で、その女形ゆえのパトロンとの関係も痛々しい。
養成所での過酷な体罰と練習、それが華麗な「覇王別姫」の舞台と対照をなす。旧弊な修行、そして日本軍政下、共産党政権成立、文化大革命と、激動の歴史の流れに呑まれる石のように二人の人生も進んで行く。「覇王別姫」の京劇の面と衣装がとても強い印象だ。
1993中国・香港
2018.7.26レンタル
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
映画(洋画)
- 感想投稿日 : 2018年7月27日
- 読了日 : 2018年7月26日
- 本棚登録日 : 2018年7月26日
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