ゴーストの条件 クラウドを巡礼する想像力 (講談社BOX)

著者 :
  • 講談社 (2011年9月2日発売)
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本棚登録 : 170
感想 : 15

「東浩紀のゼロアカ道場」によって選考された著者による書き下ろし。
著者は序文に於いて本書を「キャラクターの哲学の展開であり、その目標は「ゴースト」という概念のプレゼンテーションにある」という。
そして続けて「ゴースト」とは「士郎正宗のSF作品『攻殻機動隊』の重要概念としてゴーストという言葉がよく知られている。」として、そのニュアンスも併せながら箇条書きで、
・「複数化した集合的無意識」
・「クラウド化した二次創作(空間)の表象」
・「自立化したキャラクター」
・「中間的共同体」
・「神でもなく、人でもなく、単なるキャラクターでもないもの」
・「創作をエンパワーメントする神秘的ツール」
・「新しい現実感の象徴」
と挙げる。
本書では、ループ系諸作品、サヴァイブ系書作品、ニコニコ動画、やる夫、等からネットワーク上に存在する「ゴースト」について考察され、そして生み出された水子としてのゴースト、及び人の実存にまで考察が加えられていく。
とにもかくにもこの本が刊行され、読む事が出来たという事に、一般的にいうゼロ年代が終わったのだなぁとしみじみ思うのであった。

というところなのだが、余りにも取り扱われる作品を参照していない私は、作者の作品に対する説明だけが頼りという状況(ジョジョの奇妙な冒険に対する批評もあり。その主要な対象は「レクイエム」だっ!!)であり、それらの作品を親しんでいる人々がどのようにこの批評を考えるのかという点に興味を覚える。
又、ある意味ではゼロ年代における上記作品の注目トピックカタログに(私には)なっている。私はSound Horizonの作品が気になったのでちょっと手を出してみようかなと思っている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年1月2日
読了日 : 2012年1月1日
本棚登録日 : 2011年10月23日

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