ゴーストの条件 クラウドを巡礼する想像力 (講談社BOX)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 170
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (484ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062837385

作品紹介・あらすじ

最もリアルで最も同時代的なキャラクター批評の最新形。

固有名(キャラクター)に宿る哲学、クラウド化する二次創作、現実化されなかった可能性――水子の物語。現在を彩る物語たちを三つの異なる視点から照射し、そこに見出され問われる新たな作家性“ゴースト”を浮上させる。もう成長しない日本と、その震災以後の作品(コンテンツ)に宿るべき“希望”を描き出す渾身の書。満を持していよいよ登場!

「東浩紀のゼロアカ道場」から発掘された一つの才能が、難産の末ついにデビュー!

東浩紀、推薦!
「『動物化するポストモダン』『美少女ゲームの臨界点』の精神は死に絶えていなかった――セカイ系コンテンツ批評の新たな逆襲!」

感想・レビュー・書評

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  • リアルな人間関係上の感情移入と、キャラクター的なものについてのそれが等価になってしまっている自分にとって、その方向のまま思考を進めるのに役立った。

  • ばづくーるラボメンバー H.Y.さんのオススメ

  • [ 内容 ]
    固有名に宿る哲学、クラウド化する二次創作、現実化されなかった可能性―水子の物語。
    現在を彩る物語たちを三つの異なる視点から照射し、そこに見出され問われる新たな作家性“ゴースト”を浮上させる。
    もう成長しないと日本と、その震災以後の作品に宿るべき“希望”を描き出す渾身の書。
    最もリアルで最も同時代的なキャラクター批評の最新形。

    [ 目次 ]
    第1部 固有名の哲学(アイドル;キャラクター)
    第2部 クラウド化した二次創作(創作性の変容;非現実を描く辞書;ゴースト;ニコニコ動画)
    第3部 水子の倫理(人形と奇跡;水子の物語)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • キャラクターとは一体何か。
    本書では、象徴、アイドル論の流れで捉えなおし、ゴーストという概念を提唱しています。
    VOCALOID、東方、ひぐらし、Sound Horizonにアイドルマスターetc……。
    気になったなら是非一読してみてください。

  •  キャラクター批評。ページが多く文章量もかなり多いが、凄く面白かった。少しでもオタクを自覚している人が読んだら夢中になること間違いなしかと。批評本だけあって難しい表現や単語が多いものの、扱っているテーマがそもそも面白い(初音ミクややる夫、東方など)ので読むのが苦になるというものではない。
     自分は特に『マブラヴ(オルタ)』について多くページを割かれていたことが嬉しかった。実際プレイして相当印象に残った作品だったので凄く興味深かった。他に『ジョジョ』や『ハルヒ』、『ローゼンメイデン』などの有名タイトルにも考察が為されていて、大変読み応えがある。また自分は未プレイだが、『kanon』や『Air』、『ひぐらし』や『うみねこ』についても扱っており、そちらに興味を持つ良いきっかけとなった(その代わりネタバレはほぼ全開なのだけど。
     その他『Fate』や『Sound Horizon』、ボーカロイドや東方projectにニコニコ動画という場の考察、そして先に述べたやる夫や他のアスキーアートなど、『そちら側』の人間なら反応せざるを得ないテーマが多く取り扱われているので、上記タイトルで一つ二つアンテナに引っかかった人にはおすすめしたいところ。「こんなこと考えて作品見て(遊んで)いるのか!」と驚かされること請け合いです(普段からそんなこと考えている筈もないだろうけれど)。

     自分がこの本に興味を持ったのは、昨年の冬コミケで売っていたBLACK PASTの『ビジュアルノベルの星霜圏』という本を読んだことがきっかけなのですが、こちらも特におすすめしたいです。こちらはタイトル通りビジュアルノベル――所謂美少女ゲーム(含18禁)についての批評がメインなのですが、クリエイターへのインタビューなど特に興味深い内容になっています。

    「我こそは(オタク)!」という人は是非チェックしてみては如何でしょうかっ!

  • 「東浩紀のゼロアカ道場」によって選考された著者による書き下ろし。
    著者は序文に於いて本書を「キャラクターの哲学の展開であり、その目標は「ゴースト」という概念のプレゼンテーションにある」という。
    そして続けて「ゴースト」とは「士郎正宗のSF作品『攻殻機動隊』の重要概念としてゴーストという言葉がよく知られている。」として、そのニュアンスも併せながら箇条書きで、
    ・「複数化した集合的無意識」
    ・「クラウド化した二次創作(空間)の表象」
    ・「自立化したキャラクター」
    ・「中間的共同体」
    ・「神でもなく、人でもなく、単なるキャラクターでもないもの」
    ・「創作をエンパワーメントする神秘的ツール」
    ・「新しい現実感の象徴」
    と挙げる。
    本書では、ループ系諸作品、サヴァイブ系書作品、ニコニコ動画、やる夫、等からネットワーク上に存在する「ゴースト」について考察され、そして生み出された水子としてのゴースト、及び人の実存にまで考察が加えられていく。
    とにもかくにもこの本が刊行され、読む事が出来たという事に、一般的にいうゼロ年代が終わったのだなぁとしみじみ思うのであった。

    というところなのだが、余りにも取り扱われる作品を参照していない私は、作者の作品に対する説明だけが頼りという状況(ジョジョの奇妙な冒険に対する批評もあり。その主要な対象は「レクイエム」だっ!!)であり、それらの作品を親しんでいる人々がどのようにこの批評を考えるのかという点に興味を覚える。
    又、ある意味ではゼロ年代における上記作品の注目トピックカタログに(私には)なっている。私はSound Horizonの作品が気になったのでちょっと手を出してみようかなと思っている。

  • やる夫とか初音ミク、東方の流行で不思議に思っていたことが整理された、ように思う。哲学用語や難しそうな参考文献が多く、作者の主張を理解出来たとは言えない。とは言え知っている作品について触れているところは興味深く読めた。特にマブラヴ、うみねこについては今更の驚きがあった。知らない作品は思いっきりネタバレだがどれも古い作品でプレイあるいは読む機会もなさそうだしまあいいか。批評の本は初めて読んだが小説の後ろについている短いもので十分だと思った。

  • 10/19
    ソシュールの言った恣意性は外国語との非対称性ではないって丸山圭三郎は言っていた気がするんだけど。
    あとがきは面白い。

  • 美少女ゲーム、マンガ、アニメなど、様々なジャンルに対して、
    「ゴースト」を語る。
    「やる夫」について書かれた部分など、
    「やる夫」がゲシュタルト崩壊を起こしそうな勢いだ。

    彼の説明する想像力の世界は、確かにこの先の世界を
    考えるための礎になりうると考える。

    2ちゃんねる、ニコ動、AKBなどその歴史を深く掘り下げて
    見ることも出来ておもしろい。
    あと、なにより読みやすい。

  • 2011 9/20読了。Book1st渋谷文化村通り店で購入。
    ゼロアカ道場・勝者の批評本。満を持しての刊行、ということで店頭で見かけてすぐに買ってきた本。
    なのに読み終えるのに時間がかかったのは途中で「先にこっちを読んでおくべきでは・・・」という批評本に手を出していたりもしたせい。

    個人的に一番面白かったのは第二部。ゴースト、というアイディアについてやる夫やニコニコ動画御三家を例に書かれている部分は(自分に馴染みのあるネタだから、というのが大きいと思うが)面白かった。
    第一部は固有名詞の話がきつい。そのあたりは@sakstyleに任せたい。
    第三部は作品論がメインなので、知っている作品(自分の場合はKanonやFate)を扱っている部分は面白いけど、知らない作品を扱っている部分はまず出てくる名前がわからない・・・。
    知ってる/知らないに読みやすさが左右されるのは当然として、知りたい/読みたいにジャンプするためには何がいるのか、とか(第二部はそれがあった気もするけど、もともとの馴染みの問題もありそう)。

    それにしてもタイトルがいい。「ゴーストの条件」って。なんて格好良さだ。

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著者プロフィール

北海道大学公共政策大学院・法学部准教授。2006年東京大学法学部卒業,2012年同大学院法学政治学研究科修了(博士(法学))。専門は行政学。独立行政法人日本学術振興会特別研究員(PD),東京大学特任講師等を経て,2014年から現職。主要業績として,「規制空間の構造変容と官僚制の裁量行使戦略(一~六・完)」(『国家学会雑誌』第126巻第1-2~11-12号,2013年)。

「2016年 『公共政策学の将来』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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