最高の百合小説。「女性はかくあるべし」という強い価値観があった時代背景を思うと、この物語に登場する女性たちの強い生き方に励まされた方達は相当多かっただろうなと思いました。
上巻では女性同士の友愛を、下巻では恋愛に近い感情を描いていましたが、こちらは悲しい結末の作品が多かったこともあり、どちらかというと上巻の方が好みかも知れません。中でもお気に入りは下記の短編。どれも読んだ後に本を一旦閉じ、ほうっと嘆息してしまうような素晴らしい作品でした。
<上巻>
・福寿草
兄の妻に思いを寄せる主人公。一度は別れながらも、大切な福寿草をきっかけに再開する展開が非常に美しい。
・ダーリヤ
突如訪れた輝かしい道を選ばず、自ら選んだやりがいある、けれど茨の道を選ぶ過程がなんとも言えない。最後の句が胸を打つ。
<下巻>
・浜撫子
あまりにも悲しい結末の三角関係もの。かなり好みの作品だが、下巻はこういった悲しい話が多くて、カロリーを非常に消費する。
・竜胆の花
ちょっとした復讐劇になっている作品。また誰か死ぬのではと構えていたので、終盤の展開には胸がスカッとした。
・スイートピー
これも三角関係ものだが、浜撫子とは異なる展開。愛に大小はないけれど、当事者たちにとってはそう単純な話ではない。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年9月28日
- 読了日 : 2023年9月28日
- 本棚登録日 : 2023年9月28日
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