既刊のシリーズ四作を通して思ったのは、悪も悪にはなり切れないところが結局は親なのかもしれないということ。
自分から解放してあげることが唯一の救いだと思っている希実の母親とこだまの母親。愛を受けたことがないからって決してあげるつもりがないわけではない、けれど酷く不器用なこだまと幸太郎の父親。守りたいからこそ過剰に閉じ込めてしまう村上の母親。本当は誰よりも大切にしてあげたいのに、自分にも子どもにも傷を残さないと互いを保つ術がないなんて。でも、そこには精一杯の愛がるから苦しい。
親子の愛のカタチは他のどの愛よりも複雑で、もしかしたら程よい距離のある人のことほど器用に思いやれて、うまく愛せるのかもしれない。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
大沼紀子
- 感想投稿日 : 2015年9月1日
- 読了日 : 2015年4月13日
- 本棚登録日 : 2015年9月1日
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