ブラック・スワン [DVD]

監督 : ダーレン・アロノフスキー 
出演 : ナタリー・ポートマン  ヴァンサン・カッセル  ミラ・クニス  バーバラ・ハーシー  ウィノナ・ライダー 
  • 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
3.73
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本棚登録 : 689
感想 : 154

2011年、これを観ずには終われないということで。
痛いのが苦手なおかげで敬遠しておりましたがやっと観ましたー………疲れた…2時間弱、緊張しっぱなし。終盤は呼吸困難になりました。

昔お芝居をかじっていた人間として感じることは、舞台表現に携わる者にとって、『完璧』という言葉は一種の呪いである、ということです。
舞台表現は、すべて「そのとき限り」。
何回稽古しても、まったく同じ芝居って二度とできません。
その日のコンディション、演者同士の化学反応、客席の雰囲気、すべての相乗効果で生まれる表現は日々変化していきます。
これで完成!となることがない。
だから、『完璧』という言葉は、本来なら使ってはいけないのかもしれない。
それでも役者たちは、『完璧』な表現を追い求め、高みを目指し続けるしかないのです。
それが舞台表現の、面白く、恐ろしいところ。嵌まったら抜け出せない魅力。

主人公・ニナにも、この『完璧』という言葉が圧しかかります。
ニナはキスのときにがっちり唇を閉じてしまうようなお堅い女の子。
バレエママにバレエ一筋で育てられ、真面目で、清純。
男を誘惑する黒鳥の大胆な官能性を『完璧』に演じようと、どんどん追い詰められていき、内側に押し込めていた自我や欲望が、肉体を突き破るかのように膨張して幻覚となって現れます。

ナタリー・ポートマンがとにかく素晴らしいです。どんどん顔つきが変わっていく。
そしてクライマックスの黒鳥の美しさといったら…!呼吸を忘れます。
美しすぎて、こわいです。

ニナが見出した『完璧』……。
観終わって思うことは、やはり、舞台は「そのとき限り」ということ。
『完璧』を掴んだとしても、それを再現することはできない。もう二度と。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 映画
感想投稿日 : 2011年12月31日
本棚登録日 : 2011年12月31日

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コメント 1件

猫丸(nyancomaru)さんのコメント
2012/06/20

「それを再現することはできない」
悲しい最期でした。。。

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