ブラック・スワン [DVD]

監督 : ダーレン・アロノフスキー 
出演 : ナタリー・ポートマン  ヴァンサン・カッセル  ミラ・クニス  バーバラ・ハーシー  ウィノナ・ライダー 
  • 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
3.73
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感想 : 154
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988142868923

感想・レビュー・書評

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  • 2011年、これを観ずには終われないということで。
    痛いのが苦手なおかげで敬遠しておりましたがやっと観ましたー………疲れた…2時間弱、緊張しっぱなし。終盤は呼吸困難になりました。

    昔お芝居をかじっていた人間として感じることは、舞台表現に携わる者にとって、『完璧』という言葉は一種の呪いである、ということです。
    舞台表現は、すべて「そのとき限り」。
    何回稽古しても、まったく同じ芝居って二度とできません。
    その日のコンディション、演者同士の化学反応、客席の雰囲気、すべての相乗効果で生まれる表現は日々変化していきます。
    これで完成!となることがない。
    だから、『完璧』という言葉は、本来なら使ってはいけないのかもしれない。
    それでも役者たちは、『完璧』な表現を追い求め、高みを目指し続けるしかないのです。
    それが舞台表現の、面白く、恐ろしいところ。嵌まったら抜け出せない魅力。

    主人公・ニナにも、この『完璧』という言葉が圧しかかります。
    ニナはキスのときにがっちり唇を閉じてしまうようなお堅い女の子。
    バレエママにバレエ一筋で育てられ、真面目で、清純。
    男を誘惑する黒鳥の大胆な官能性を『完璧』に演じようと、どんどん追い詰められていき、内側に押し込めていた自我や欲望が、肉体を突き破るかのように膨張して幻覚となって現れます。

    ナタリー・ポートマンがとにかく素晴らしいです。どんどん顔つきが変わっていく。
    そしてクライマックスの黒鳥の美しさといったら…!呼吸を忘れます。
    美しすぎて、こわいです。

    ニナが見出した『完璧』……。
    観終わって思うことは、やはり、舞台は「そのとき限り」ということ。
    『完璧』を掴んだとしても、それを再現することはできない。もう二度と。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「それを再現することはできない」
      悲しい最期でした。。。
      「それを再現することはできない」
      悲しい最期でした。。。
      2012/06/20
  • ナタリー・ポートマンのひとり「サスペリア」。よく頑張った! アカデミー賞主演女優賞もここまでやってくれたらあげましょうと皆(投票した人々)が思ったのではないか。
    エロい悪夢(妄想? クスリのトリップ?)シーンに、レッスンシーンのB地区透けに、入浴シーン…、コーチやライバルにセクハラトークされてのぶりっこ演技(映画秘宝2012年1月号での澤井健氏の指摘。確かに絶妙)も、xxx-シーンもサービスしまくり。

    今の彼女に出来る限りの合法セクハラを寄ってたかって監督その他のスタッフがあて書きしたような設定&脚本w。「レオン」のマチルダからアミダラ姫、ハーバード大進学と優等生イメージをなかなか破れず試行錯誤していた印象の彼女のためのお膳立てにしか見えん。「レオン」を越える代表作にやっと恵まれて良かったね。

    自己イメージを逆手に取ったような役柄とナタリー自身のイメージがシンクロ度高し。子役、イエール大、オスカーと似た経歴のジュディ・フォスターもそうだが子役時代(「タクシードライバー」「ダウンタウン物語」「白い家の少女」の頃)の方が妙に色っぽかったのは不思議。

    「レオン」だと、マチルダが大人ぶって背伸びする、ホテルのクロークにレオン役のジャン・レノが父親じゃなくて恋人なのと言うシーンとかレオンが持ち歩く植木に「私もこの植木鉢みたいなものなの?」というシーンとか。

    落ちぶれていく元プリマ役のウィノナ・ライダーが残酷な使われ方で意地悪なキャスティングだよなー(泣)。

    バレエの練習や舞台場面でどこまで吹き替え、CGが使われたのか知りたくなるが、バレエ物の皮をかぶったホラー(サスペンス)だと最初から割り切って(知っていて)見たので気にならなかった。鏡を多用する演出も「サスペリア」風。音楽も「サスペリア」のゴブリン(イタリアのプログレバンド)だったらもっと怖かったかもw。このままでも純粋なバレエファンが予備知識なしで見たらドン引きするだろうが。バレリーナ志願の女の子が見たらトラウマになりそうw。だからR15指定なのか?

    今敏監督の日本劇場アニメ「パーフェクト・ブルー」が元ネタで日本のアイドル業界をバレエに置き換えたと公開当初から町山智浩さんが指摘していて、確かにそうだなと思った。どちらかしか見てない人は見比べると面白いですよ。

  • ニューヨークのバレエ・カンパニーに所属するニナは、元ダンサーの
    母親の寵愛のもと、人生のすべてをバレエに捧げていた。
    そんな彼女に新作「白鳥の湖」のプリマを演じるチャンスが訪れる。
    しかし純真な白鳥の女王だけでなく、邪悪で官能的な黒鳥も
    演じねばならないこの難役は、優等生タイプのニナにとって
    ハードルの高すぎる挑戦だった。
    さらに黒鳥役が似合う奔放な新人ダンサー、リリーの出現も、
    ニナを精神的に追いつめていく。
    やがて役作りに没頭するあまり極度の混乱に陥ったニナは、
    現実と悪夢の狭間をさまよい、自らの心の闇に囚われていくの
    だった。



    最初ははかなげなニナだったのに、黒鳥の役に徐々に支配されて
    ゆき、最後は「白鳥の湖」のラストと同じように命を落としてしまいます。
    少しずつ狂気に支配されていくニナの姿は恐ろしく、現実と妄想の
    境目はどんどん分からなくなっていきました。

    クラシックバレエはもちろん、舞台に立ち何かを演じる人は誰でも
    一度は「役になりきりすぎて自分を見失う」という経験をしたことが
    あると思います。
    それぐらいしないと本当に良い演技はできないけれど、ニナの場合は
    度が過ぎてしまったようです。

    この迫りくる恐怖にたまらなくしびれました。


    また、役のために監督に媚を売るダンサーやダンサー同士の
    ねたみあいは現実的でした。

    そして、ニナを演じたナタリー・ポートマンの体はまさにバレエダンサー。
    よくぞここまで体を作りこんだものだと感心しました。
    さすが2011年度アカデミー賞主演女優賞を受賞しただけのことが
    あります。

    カメラワークも躍動感があり、まるでニナと一緒に踊っているような
    感覚を味わえました。

    観終わった後は(良くない意味で)胸がいっぱいになる映画です。

  • 好き嫌いが分かれるとは思う。
    個人的にはあまり好きくないかもしれない。
    でも色彩の美しい映画です。

  • レイトショー。

    黒鳥への変化の場面は、今思い出しても鳥肌が立つほど。
    圧巻。


    これは何度観ても「スゴい」。
    ラストにかけて、自分が呼吸しているか判らなくなるほど引きずり込まれる。
    体力使う。

  • ナタリー・ポートマン美しい。
    人によって好き嫌いが分かれそうな作品。

  • 下手なホラーよりも恐ろしい。
    あまり二度三度と見たいと思わないくらいに緊迫感があり、かなり痛い場面も多々ありました。
    面白かったけど疲れる映画。

    恐怖はつねに自分自身の心から沸き起こるものだけど、それを映像化したらこうなるかという感じ。
    こういう映画を見ると、目に見える世界はつねに自分の主観でしかないのだなと思います。

    役に生かされ、押しつぶされるナタリー・ポートマンの演技が素晴らしい。
    ラストの白鳥の湖は圧巻。
    引き込まれて目が離せない、映画界に残る名場面です。

    「レスラー」の姉妹版というので、それと比較するために見ました。
    プロットとしては全然違う気もしますが、ラストまでの喪失と喝采を浴びながら崩壊していく様が共通していて、これを同じ映画にしたらどうなったのかという興味もあります。

  • バレエ「白鳥の湖」のプリマドンナは、清らかな「白鳥」と、妖艶な「黒鳥」の両方を表現できなければならない。このプリマに抜擢されたニナは、「白鳥」は自他ともに認める完成度で舞うことが出来るが、一方「黒鳥」での蠱惑的な演技ができない。ライバルの存在も手伝い、彼女は次第に追い詰められていく。。。

    映画を観ながらこんなに怖いと思ったのは「パンズ・ラビリンス」以来かもしれない。って書いてみて気付いたのだが、ラストをどう解釈するか(果たしてこれはハッピーエンドなのかバッドエンドなのか?)という観点でも「パンズ・ラビリンス」と似ている。
    「パンズ・ラビリンス」を観るのが苦痛で仕方なかった私は、この作品でもニナが徐々に壊れていくさまを見るのは本当につらかった。
    芸術とは、ここまで自分を追い詰めないと完成しないものなのだろうか。

    ナタリー・ポートマンがこの演技でオスカーを獲ったのは納得。
    追い詰められたときの表情、ダークサイドに落ちた姿、そして全てを悟った最後の清らかな笑顔、まさに「白鳥」を演じ切っていたなぁと思う。「完璧」。

    脇役も誰もが良かった。
    屈折した愛情を傾ける母を演じたバーバラ・ハーシーや、魅惑的で才能もあるけど軽薄な監督のヴァンサン・カッセルも素晴らしかったし、ニナを追い詰めていくライバル(と言っても、おそらくリリーとしてはライバルになっているつもりはまるでなく、ニナの仮想敵なんだけど)を演じたミラ・クリスも奔放な感じがよく出ていた。
    そういえば、先代プリマを演じていたのがウィノナ・ライダーだと最後まで気付きませんでした私。

  • ものすごい!

    映画でこういう感動は味わったことがありませんでした。観終わってしばらくしてもなお興奮がさめやりません…終盤からのスピード感、緊張感、不安感はとても良かったです。

    映画全体を通じて、観客を作品のなかに引きこんでいく強い効果を感じました。それはいろいろな演出によるものだとは思いますが、個人的にはカメラワークが印象的でした。状況を客観的な立場から映すことはあまりなく、基本的には主人公の視点から映し出されていたように思います。とくに踊りのシーンを映す仕方は、基本的に観客目線ではなく、(観客が)自分もその舞台に参加しているような気にさせる踊り手目線のものでした(とはいえ、実際踊ったことはありませんが)。そのようにして観客は主人公の立場にみずからを投影して、主人公と同じような恐怖や緊張を体験できるようになっているように思いました(ただ、絶叫マシーンに似たような要素もあるので、そういうのが苦手な方は酔ってしまうかもしれません)。

    また、そうした主人公の描かれ方に加えて、「自らの殻を破ることができずに苦悩している」という主人公の人物設定が作品の魅力を倍増しているように思います。ミヒャエル・ハネケの『ピアニスト』の主人公――実直で真面目な性格でありながら、その心の奥底に「悪魔」を抱えてしまっていて、その「悪魔」の作り出す欲望や嫉妬のような感情にどう向き合ったらいいのか当惑している――に似ているところがあるように思います。なんだか末恐ろしいものではありますが、ある意味誰しも共感できるところでもあり、私も、自分のなかにもいるかもしれないその「悪魔」のことを思ってしまいました。

  • 観たいと思いながら、気合いがいると感じてなかなか手が伸びなかった。
    最近バレエのドキュメンタリー観たりしてバレエ熱が高まった勢いで観賞。
    ナタリーポートマン演じるニナが生真面目な故に自分を追い込みすぎて破滅に向かっていく。現実と妄想の区別がつかなくなるしグロいから、ある程度気持ちが強いタイミングで観るべき映画。
    今で言う毒親による子供の人格形成への影響についても考えさせられる。
    ナタリーポートマンのバレエ姿に魅せられる。個人的にはウィノナ・ライダーの蓮っ葉な雰囲気の元プリマの存在感も気になった。

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