バレエ「白鳥の湖」のプリマドンナは、清らかな「白鳥」と、妖艶な「黒鳥」の両方を表現できなければならない。このプリマに抜擢されたニナは、「白鳥」は自他ともに認める完成度で舞うことが出来るが、一方「黒鳥」での蠱惑的な演技ができない。ライバルの存在も手伝い、彼女は次第に追い詰められていく。。。
映画を観ながらこんなに怖いと思ったのは「パンズ・ラビリンス」以来かもしれない。って書いてみて気付いたのだが、ラストをどう解釈するか(果たしてこれはハッピーエンドなのかバッドエンドなのか?)という観点でも「パンズ・ラビリンス」と似ている。
「パンズ・ラビリンス」を観るのが苦痛で仕方なかった私は、この作品でもニナが徐々に壊れていくさまを見るのは本当につらかった。
芸術とは、ここまで自分を追い詰めないと完成しないものなのだろうか。
ナタリー・ポートマンがこの演技でオスカーを獲ったのは納得。
追い詰められたときの表情、ダークサイドに落ちた姿、そして全てを悟った最後の清らかな笑顔、まさに「白鳥」を演じ切っていたなぁと思う。「完璧」。
脇役も誰もが良かった。
屈折した愛情を傾ける母を演じたバーバラ・ハーシーや、魅惑的で才能もあるけど軽薄な監督のヴァンサン・カッセルも素晴らしかったし、ニナを追い詰めていくライバル(と言っても、おそらくリリーとしてはライバルになっているつもりはまるでなく、ニナの仮想敵なんだけど)を演じたミラ・クリスも奔放な感じがよく出ていた。
そういえば、先代プリマを演じていたのがウィノナ・ライダーだと最後まで気付きませんでした私。
- 感想投稿日 : 2011年12月25日
- 読了日 : 2011年11月20日
- 本棚登録日 : 2011年11月20日
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