老いる家 崩れる街 住宅過剰社会の末路 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2016年11月16日発売)
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感想 : 70
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なんだか読んでいて情けなくなった。
窓からは、高層マンションばかりがみえるからである。
このマンションの50年後は如何に?????
限界マンションになることだけは避けてほしい。

<内容>
1968年に都市計画法があったはずなのに、1973年以降も市場原理に任せたまま無秩序に拡がる街、開発、建物。
住宅建設業界はマグロ業界と言われるそうだ。(建物を作り続けないと収益が確保しにくいから)
新築住宅が居住地としての基盤が十分に整っていない地域でも、未だに野放図に作り続けられ、居住地の拡大が止まらない。そのために公共道路、ゴミ収集、学校など、多額の税金が新しくつぎ込まれている。どこもかしこも財政難だというのに。無秩序に農地を潰しながら拡がっている。
2013年に賃貸アパートは4部屋にⅠ部屋は空き家だという現状なのにである。

1棟で500世帯を超えると、駅の拡張、駐輪場の整備、交通インフラ整備、小学校の建築など必要となる。高層マンションは管理不能となるリスクも高く、老いた分譲マンションは限界マンションとなる。無責任な住宅建築には????である。

超高層マンションの市街地再開発事業に対しての補助金はⅠ地区に対して70億~90億からであるが、この補助金を一世代で使いきるのはどうなのか?これだけの補助金を出すのであれば、公共マンションであるべきで、管理不能となる可能性の高い分譲体系にも疑問を感じる。

2021年には築35年以上のマンションが235万戸となる。
老いた分譲マンションは単に居住者の老いだけじゃなく、亡くなった後の相続問題によっては(相続放棄)管理不能となる。住宅の終末期への対応を早急に構築する。解体、除去、支援、住宅メンテナンス保険など、対応を急がないと大変なことになる。

先を見越した都市計画や住宅政策、誰が考えてくれるのか??
間違った規制緩和は止めてほしい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 新書
感想投稿日 : 2017年8月3日
読了日 : 2017年7月26日
本棚登録日 : 2017年7月26日

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