与謝野晶子といえば、国語の教科書に載っている反戦の人というイメージで20余年生きてきた。社会人になって代表作『みだれ髪』が女性の性愛表現として当時衝撃を与えたという知識を得て、原著にあたったところ正直難しく1年以上読むのを放棄していた。宿泊した温泉宿にて置いてあったこちらの本を偶然発見して読むに至った。
31語を31語の現代語に訳すという俵万智の試みは普段短歌に馴染みのない自分でも意味やその短歌の空気感を理解することができた。性愛表現で衝撃を与えたという事前知識からどんなエッチな表現があるのかと期待しながら読み進めていたが、現代の感覚からするとそこまでのものはなかった。自由恋愛そのものがまだ浸透していない時代に女性が"性愛"自体に言及することが衝撃であったのである。
余談だが、俵万智が天才歌人というのもこの本を通じて理解できた。こんな訳、他に誰ができようか。
与謝野晶子:みだれ髪を京の島田にかへし朝ふしてゐませの君ゆりおこす
俵万智訳:朝シャンにブローした髪を見せたくて寝ぼけまなこの君をゆりおこす
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年7月19日
- 読了日 : 2023年7月19日
- 本棚登録日 : 2023年6月25日
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