昭和52年4月10日 六十五刷
「樋口一葉展ーわが詩は人のいのちとなりぬべき」鑑賞記念再読
流石にこの年代の文庫本の活字が小さい事に辟易して、最新刷を購入しようかと思ったが、疲れ眼用目薬を購入して踏ん張り読了。
24歳で肺結核で亡くなった一葉が困窮の中生み出した作品。とはいえ、父親生前はほどほどの生活をしていた様で、学校教育こそ小学校で終わるが、俳句・書道など習い事が可能な時代もあったようだ。
走り書き程度でも、とても美しい字体。豊富に残る作品原稿も素晴らしい。豊富な資料は一葉の妹さんの保管力によるところ。
文体は雅俗折衷体と言うらしく、読み慣れるまで多少違和感はある。慣れると女性らしいかな文字文学の流れを感じる。但し、読点は有るが一文が長い。半ページぐらいは普通。
社会的地位の低い女性の悲哀だけでなく、従順なる強さを描いていると思う。反比例する様に登場する男性の多くに弱さや理不尽さを含ませる。
「たけくらべ」には源氏物語からの引用もあり、残っている資料からも、かなりの努力家であったようだ。そして、その文才も亡くなる前から多くの文士達が認めるところだった。亡くなる前から、一葉が賞賛を受けていた事は慰めにはなるが、もっと多くの作品を残せただろうに。早世は残念。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
新潮文庫
- 感想投稿日 : 2021年10月8日
- 読了日 : 2021年10月8日
- 本棚登録日 : 2021年10月8日
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