羅生門・鼻 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.52
  • (305)
  • (477)
  • (981)
  • (95)
  • (13)
本棚登録 : 6689
感想 : 406
3

芥川龍之介 王朝物短編8編

羅生門 1915 今昔物語
長引く飢饉。荒れる京の都。生きる為の最後の迷い。生き抜く為のエゴイズム。

鼻  1916 今昔物語・宇治拾遺物語
鼻のコンプレックスを持った男。鼻を小さくしても、安寧は訪れず。世間は人の幸福を妬み不幸を笑う。世間を憚る自身の気持ちの問題。

芋粥 1916 宇治拾遺物語
周囲から虐げられていた男。芋粥を思う存分食べたいと願う。悪意を持って芋粥をもてなす上役。願っていた事が叶ってしまった男の虚脱感。

運 1917 今昔物語
貧しい若い女が観音にお参りして、生活の安定を願う。お告げを受け、盗賊の男の妻になってしまう。生活は安定するが、果たして、幸福とは。

袈裟と盛遠 源平盛衰記
これは、面白い。男と女のミステリー。上を男の独白、下を女の独白。盛遠はある袈裟を欲情のまま犯す。袈裟は贖罪の為、夫の殺人を依頼して自分が身代わりとなって殺される計画を立てる。愛のない男女の悲しい最後。

邪宗門 1918 大鏡•栄華物語
未完なので、何を書こうとしてたのかわからない。
面白いのは、地獄変で、絵師の娘を目の前で焼き殺し地獄絵を描かせた、あの大殿の息子・若殿が主人公。父親とは、真逆の性格で仲も宜しくない。
話の感じだと、政略的な感じかな?

好色 1921 今昔物語 宇治拾遺物語
恋愛上手な男が、一人の女性に夢中になってしまう。冷たくされても諦めない。ちょっと病む。遂に嫌いになるために、女の排泄物を食べちゃう。
まあ、女は他のものとすり替えていたんだけど。

俊寛 1922 源平盛衰記
流刑となった俊寛は、物語では絶望して嘆いていたとなっているが、実はそれなりに島に馴染んで、日々を送っていた。都の噂が全てでないよ。って感じ。

そのうち古典も読めればとは思います。たぶん、ビギナー用になるけれど。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 新潮文庫
感想投稿日 : 2022年5月24日
読了日 : 2022年5月24日
本棚登録日 : 2022年5月24日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする