生ける屍 (扶桑社ミステリー オ 7-1)

  • 扶桑社 (2004年7月1日発売)
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本棚登録 : 58
感想 : 6
3

ここ数年、ノーベル文学賞候補に村上とともに上がっているアメリカの作家。
ノーベル賞候補作家の書くジェフリー・ダーマーをモデルにしたサイコサスペンスでブラムストーカー賞受賞、しかも書名が「生きる屍(原題:Zombie)と気になっていた本がようやく手に入った。

乾いた文体、断片的なテキスト、間に挟まる雑な挿絵が、ヴォネガットを思わせる。ユーモアのないヴォネガット。いや、ユーモアはある。ピントのずれたたユーモアだけど。
気にいった少年にロボトミー手術をして自分の言うことをきくゾンビを作り、一緒にベッドに入って聞こえる鐘の音を数えながら同時に眠りにつきたい、と乙女のような夢を持つ主人公。でもロボトミーには何度も失敗。

物語に起伏なく続く日常は、空虚だが妙に前向き。前向きの空虚さ・・・って変な感じ。

凶悪事件が起こると、犯人のトラウマなど「過去」に原因を求めようとするが、この主人公は、時計の針を引っこぬき、過去など現実でないとか、過去に対して一切の悩みを感じたことがない、など過去の価値を一切認めてない。

読み終わった後、帯のコピーに、

「もっと実りのある人生の提案をプレゼント」

なんと悪趣味な冗談かと思えば、投資不動産の広告・・・。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 鬼畜
感想投稿日 : 2014年1月10日
読了日 : 2014年1月9日
本棚登録日 : 2014年1月7日

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