不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2017年11月15日発売)
4.17
  • (190)
  • (208)
  • (76)
  • (10)
  • (4)
本棚登録 : 1870
感想 : 238
4

ある特攻隊員へのインタビューをベースとして、戦争及び特攻隊員のリアルを描いている。これを書いているのが「空気と世間」を書いている著者・鴻上尚史さんと同じとのこと。この方は演出家の一面も持っているということで、その多彩な活躍ぶりに驚かされる。
さて、話は「9回特攻に出撃して、9回生きて帰ってきた」という佐々木友次さんのインタビューから始まる。これまでの「お国のために華々しく突撃してまいります!」的な美談?話が多い中で、このような方の話は貴重とも言える。
その中でも、特攻の効果についてわかりやすく伝えている言葉が印象に残っている。
「卵をコンクリートにたたきつけるようなもの。卵は壊れるが、コンクリートは汚れるだけ」
非常にわかりやすく、かつ特攻というのものがどれだけ効果の期待できない作戦だったかがうかがえる。
太平洋戦争末期、戦況の悪化により、最終的には「勝つ」ことではなく「死ぬ」ことが目的になってしまっていた。またそういった思想に対して誰も意見が言えない状況になるまでの、教育という名の洗脳、マスコミでの報道内容等のリアルについても書かれていたが、本当に恐ろしいなと改めて感じた。
現在も世界を見渡せば戦争は行われているわけだが、日本で二度と戦争が起きないことを切に願うばかりである。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年2月16日
読了日 : 2023年2月15日
本棚登録日 : 2022年10月8日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする