アジア新聞屋台村 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (2009年3月19日発売)
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本棚登録 : 449
感想 : 65
4

高野秀行さんの著書、これが3作目。
「ワセダ三畳青春期」がとてもおもしろかったので、それ以来良く読んでいる。
今回は、主人公である著者が、ひょんなことから「エイジアン」という新聞社の編集顧問になってしまったというお話。
劉さんという台湾人の社長を筆頭に、その新聞社には様々なアジア圏の国籍の方が働いているが、とにかく皆が皆ぶっ飛んでいる。日本人の感覚からしたらまともなことなど何一つ存在しない。
序盤は次々と起こるハチャメチャストーリーが紹介されている。
しかし、さすがのハチャメチャぶりに次第に不満を募らせる著者。そんな著者の葛藤と、まさかのラブストーリー的展開で読者を引き込む。
終盤になり、改めてエイジアンという会社、そこで働く人たちの良さに気付くものの、もう自分の役目は終わったとばかりに、エイジアンを去っていき物語は終了。
正直読み物として、この本の登場人物に触れるには最高に楽しい。しかし、いざ一緒に働くとなったら、とても私では著者のように楽しめる自信はない。良い意味で言えば個性的だが、悪く言えばただの非常識人だ。著者には感心しかない。
しかし、そう感じてしまった自分がとても小さく感じたのもまた正直なところだった。私は本当に小さい世界でしか生きていない。なんと視野の狭い世界で生きているのかと。
もっと視野を広げて、大きな心で物事を受け止め、許せることのできる人間になりたいものである。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年7月14日
読了日 : 2022年7月13日
本棚登録日 : 2022年7月7日

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