自由戀愛 (中公文庫 い 101-1)

著者 :
  • 中央公論新社 (2004年11月1日発売)
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感想 : 37

わたしは〜してあげる、という言い回しがものすごく嫌いである。人に言われるのも嫌いだから自分が言うのも嫌い。〜してあげる、というのならしてもらわなくていい。〜したいと思ったからしてくれるのでないのなら要らない。本当はしたくないけれどあなたのためを思って、のような、あわれみのような、押しつけがましさしか感じない言葉。もちろん相手がいつもそんなつもりで使っているわけじゃないのは解っているけれど。なにも持っていない人間の僻みなのだろうけれど。

というか不倫ものだと思っていなかったわ。

明子は恵まれている。ずっと〜してあげると言い続けるのだろうな。



「お前は妾として、女の盛りの時を費やしているのだぞ。虚しくはないのか」

冷え冷えとした空気に浸されたのは、初秋という季節のためなのか。それとも一年という年月の、あまりのあっけなさを自身の呟きによって思い知らされたからなのかしら―――。

「怖い。私、怖い。独りぼっちなのね、私」

私は物心ついた頃から、どこにいても居心地の悪さというのだろうか、自分はここにいてもいいのかどうか、常に一抹の不安を抱えていた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年8月31日
読了日 : 2022年8月31日
本棚登録日 : 2022年8月31日

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