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砂の女 (新潮文庫)
- 安部公房
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★4.0
男が砂穴の一軒家に閉じ込められる突拍子もない話ではあるものの、読み進めていくうちにどんどん引き込まれていく。尽きることのない砂、はにかむ熟れた女、常軌を逸した部落の人々、男が置かれる状況は理不尽極まりないけれど、人間の思考というものは不思議と変わっていくもの。気付けば、逃げ場のない場所で同じことを繰り返すのなら、女のように順応して喜びを見出した方が幸せなのかもしれない、と思えてくる。そして、自由を目前にしながら下した男の決断の、気持ちが分かるような恐ろしいような、砂のざらつきが残るような感覚。
2018年4月28日