読み始めて「あれ?」と思う。
初めて読むはずなのに既読感がある?…と不思議に思いながら読み進めたら、苔料理専門店で供されたイノシシの死肉に根を張る苔の描写ではっきりと思い出しました。
最初の1章だけ、以前読んだ『胞子文学名作選』(田中美穂/編、港の人)に収められていたのでした。
読書記録を遡ったら、読んだのは6年ほど前だったのですが、あの時も、非現実感の中に時折差し込まれる生々しさにどきどきしたなぁ…。
物語は1人の女性作家の日記の形式で進みます。
最初の苔料理専門店と同様、奇妙な非現実感とリアルな描写のギャップを味わうことができました。
彼女の慎ましい生活の中にある、美しいものも、汚いものも、淡々と容赦なく描かれていて、その合間から立ち上る独特のなまめかしさと若干の気持ち悪さが癖になります。
カイロウドウケツとドウケツエビの描写は、神秘的かつちょっと官能的で、どきどき。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
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読みました。
- 感想投稿日 : 2020年10月10日
- 読了日 : 2020年8月28日
- 本棚登録日 : 2020年10月10日
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