八咫烏シリーズ2作目。
本作は1作目『烏に単は似合わない』と同じ1年間を、今度は若宮サイドから描いています。
故郷では”ぼんくら次男”と呼ばれている雪哉は、いやいやながら若宮の側仕えとして朝廷へと入ることになりました。
しかも、当の若宮も”うつけ”と呼ばれる変わり者。
しかし、この2人、実はかなりの切れ者なのです。
1作目よりも朝廷の中心部が描かれるので、権力争いの様相がさらによく見えてきます。
日嗣の皇子の座をめぐる陰謀や思惑が入り混じり、敵か味方かも判然としないさまざまな勢力が暗躍している様子…。
そんな朝廷の中、若宮と雪哉の格式や慣習なんて気にしない、飄々とした立ち振る舞いにスカッとした気持ちになります。
どんな権力者を前にしても、雪哉の阿呆っぽい受け答えがぶれないのがいいのです。
また若宮の数々の奇妙なふるまいの本当の意味が明らかになるたびに、彼のかしこさに舌を巻いてしまいます。
能ある鷹(…じゃなくて烏?)は爪を隠す、ということですね。
この若さでこれだけとぼけ上手で強かな2人、将来どんな大物になることか…。
シリーズ3作目にも若宮&雪哉コンビが登場するらしいので、とても楽しみです。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2016年5月17日
- 読了日 : 2016年4月19日
- 本棚登録日 : 2016年5月17日
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