私をくいとめて (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版 (2020年2月7日発売)
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本棚登録 : 1585
感想 : 126
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読書家を名乗っている割に、自分が綿矢りさを初めて読んだのは2018年のこと。だいぶ遅い。

初めて手に取ったのが「勝手にふるえてろ」。これは面白かった。映画化されたけど、そちらも良かった。

それから「かわいそうだね」。文句なしに星5つ。夢中になれて一気に駆け抜けるような読書体験。

たった2冊しか読んだことが無いけど、自分の中で綿矢りさの評価は高かった。

しかしこの「私をくいとめて」。申し訳ないけど「ふつう」の一言に尽きる。

事前の期待時が高すぎた。こじらせ系の女子の揺れる心を描く…かと思いきや、大した問題は起きず物語はスムーズに進んでいく…。

多田くんとの恋は予定調和のごとく進展していく。それに伴い、「もう1人の自分」であるAとの距離は開いていき、その存在感は限界まで逓減された。

確固たる現実の人間とのつながりを得て、自己幻想的な世界にお別れを告げるという。そういう構造だと思うのだけど、あまりにもシンプルであまりにも薄味。

ちょっと凡庸すぎた…という感想になってしまう。あと、途中に挿入されるカフェでの人間観察的なシーンがちょっと露悪的すぎるかな…w

これ、映画もコケるんじゃないかなぁ…という余計な心配が湧く。


(書評ブログの方も宜しくお願いします)
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読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 現代小説
感想投稿日 : 2020年6月27日
読了日 : 2020年6月27日
本棚登録日 : 2020年6月2日

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