流れとよどみ―哲学断章

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  • 産業図書 (1981年5月12日発売)
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哲学者・大森荘蔵の雑誌寄稿のエッセイ集。
科学や現代社会常識の世界観と、東洋思想の世界観の間くらいに自分が生きている現実のリアリティを感じている僕としては、この人のテーマはとても興味深い。

久しぶりに読む哲学者の文章は、積み木のようだと思った。一般の人が生活の中でなんとなく積み上げた認識の山を、一番下から一つ一つ手に取って、丁寧に積み上げていく。その性質上、短いエッセイは積み木がまだ上の方まで積み上がらず、少し退屈してしまう感がある。けれど巻末にいくつか添えられたもう少し長い論考は、この積み木をもう数段上まで積み上げることができるので、一気に見たことのない世界に入る。面白い。

もしこれを読まれる方がいれば、最初の15ほどのエッセイで挫折しそうになったら、その前に最後の論考を読まれることをお勧めしたい。「18.世界の眺め」「20.心身問題、その一答案」「21.過去は消えず、過ぎゆくのみ」は、文句なしにおもしろかった!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年9月27日
読了日 : 2021年9月27日
本棚登録日 : 2021年8月24日

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