高校生科学オリンピックの青春 理系の子

  • 文藝春秋 (2012年3月27日発売)
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科学ってかっこいい

アメリカで行われているサイエンスフェア。
それは高校生を対象にした科学オリンピックであり、
自閉症患者への教育プログラムから原子炉の製作まで様々な科学研究が出展されている。

物質的環境に差はあれど、彼らに共通するものは周囲の寛容な態度だったように思う。
「何だろう?」と疑問に思う事は、常識が刷り込まれていない間は誰でも持っていると思う。
ただ、それを発展させられるかどうかは、本人の気持ちはもちろんだが、それを続けられる環境も重要だ。
特に原子力に興味を持った子供なんて、非常に恐ろしい存在だと思う。
仮にも自宅の庭で原子力を扱う代物を作った日には・・・(特段今日の日本におかなくても)。
彼の両親も何度もやきもきしながらも、結局は彼のやりたい事をさせてくれた。
おそらくそこには本書に書かれなかった家族会議等もあっただろうが、息子を信じる、という決断を下した。

また、ホースセラピーや自閉症患者用教育プログラムを研究していた子らは、自身の研究結果が広く社会の役に立つ事を知った。
これは賞金や奨学金よりも強く彼女らの充足感を満たしてくれたのではないかと思う。
当初は社会貢献と考えていなくとも、良くも悪くも科学は役に立つ、という事を実感する事が出来たのだと思う。

訳者あとがきでも触れているが、日本でも2つの科学賞の上位入賞者らがこのサイエンスフェアへ出展しているらしい。
アメリカの高校であまりにも当たり前にサイエンスフェアが認知されているように書かれているが、日本ではまだまだ道のりは遠いように思う。(一番認知度が高いのでも数学オリンピックやロボコン大会ではないだろうか)
賞金の有無も注目度に影響するだろうが、科研費の幾分かを割いてでも、世間に注目される程日本の科学賞が一般的なものになってほしい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2013年1月6日
読了日 : 2013年1月6日
本棚登録日 : 2013年1月6日

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